どろぼうの国 作:いのうえまさき 読み聞かせ対象:小学生3年生以上 ◆あらすじ どろぼうの国ではすべての人がどろぼうです。ほしいものがあればみんな ぬすんできます。ぬすんでも、ぬすまれても どろぼうの国ではそれがあたりまえ。ある日、カッパとノッポにこまったことがおきます。どうにかしようとしたら、どろぼうの国が、どろぼうの国では なくなってしまい、さあたいへん。 ◆解説(注意事項)…「どろぼう」がまかり通っている世界のお話です。子供への読み聞かせの際には善し悪しについての会話を十分にするようにしてください。譲り合うこと分け合うことは助け合いにつながるというテーマのお話しです。 |
「どろぼうの国」 どろぼうの国では すべての人は どろぼうです。 ほしいものがあれば みんな ぬすんできます。 ぬすんでも ぬすまれても みんな気にしません。 どろぼうの国では それが あたりまえなのです。 どろぼうの国に、ノッポなぼうしをかぶったおとこと、カッパがいました。 ノッポぼうしは、おいしいサカナをもっていました。 このサカナに、おいしいソースにかけて、たべたいと おもいました。 しかしソースはもっていません。 カッパは、おいしそうなソースをもっていました。 テーブルにソースの入ったビンをおいて、こうおもいました。 ソースをかけるおいしいサカナがあったらなあ。 ノッポぼうしとカッパはそれぞれのうちで、おなじことをひらめきます。 そうだ!ぬすんできたらいい! こうしてノッポとカッパはぬすみにでかけます。 ノッポはソースを。カッパはサカナを。 どろぼうたちはハナがききます。 ノッポもカッパも、ほしいものを、ぬすみました。 それぞれが、うちへかえりました。 するとおどろくことに、ノッポのうちにあったサカナがなくなっています。 カッパのうちでは、ソースがなくなっています。 ふたりは、しらずのうちに おたがいのものをぬすんでいたのです。 ソースをかけておいしいサカナがたべられるとおもったのに。 ノッポとカッパは、とほうにくれて、さんぽへでかけます。 ノッポがソースのはいったビンをかかえてあるいていると、 むこうからサカナをかかえたカッパがあるいてきます。 みたことがあるサカナだなあ。 みたことがあるソースだなあ。 ノッポもカッパも、なにがあったかをはなし、きのどくにおもいました。 とほうにくれているうちに、3日がすぎました。 するとサカナとソースはくさってしまいました。 なんてことだと、ノッポとカッパはあたまをかかえます。 いったいどうすれば、よかったのかな? ふたりはかんがえます。 どうしたらこんなかなしいことが、おきずにすむのだろうか。 ふたりは、どろぼうの国ではじめて、こまった人となったのです。 どうしたら、いいか? カッパとノッポは、どうじに ひらめきます。 はんぶん、ぬすめばいい! はんぶんだけ、ぬすんでいたならば、はんぶんはのこる。 そうしたらソースのかかったサカナをたべられた。 ふたりはいいことを おもいつき、それからは はんぶんだけ、ぬすむことにします。 はんぶんぬすむのは、とてもべんりです。 どろぼうの国でははんぶんぬすむのが、だいりゅうこう。 みんなが はんぶんぬすむようになりました。 やがて、ときがたちました。 どろぼうの国のひとは、いろいろなものを、ゆずりあうようになりました。 どろぼうの国に、どろぼうがいなくなり、ゆずりあいの国になってしまいました。 どろぼうの国の王さまが、あたまをかかえています。 たいへん。これでは、どろぼうの国じゃなくなってしまう。 もとにもどさなくちゃ! どろぼうの国の王さまは、おおあわて。 おわり ●どろぼうの国のまめちしき 1.どろぼうの国の人たちは こまかいことは気にしない 2.どろぼうの国の人たちは 大きなことも気にしない 3.どろぼうの国にある家には、とびらがついていない 4.いわれなくても たすけあうことが 進化した国のかたちらしい |
◆その他 「どろぼうの国」は短編アートアニメーションになっています。 ※宮城・仙台アニメーショングランプリ2011 優秀賞 特報映像はこちらでご覧いただけます。 http://youtu.be/nAHqe16Sqqo |
◆アニメーションでの、キャスト・スタッフ 声の出演 あつい まみ 本編の楽曲 秋山裕和 (H/MIX GALLERY) アニメーション制作 いのうえまさき |